ピンク色の空を新幹線の窓から見た

僕は今、東海道新幹線ひかり号新大阪行きに乗っている。
朝、会社に行く頃激しく降っていた雨は、昼にはもうやんでいた。
僕は午後3時に退社し(フレックス制度だ)、小田原駅から新幹線に乗った。
僕の席は窓側だった。6号車14番A席。
乗車券を見ながら席を探し、着ていたロングコートを脱いでから席に着いた。
それから、駅で購入した西加奈子の文庫本を読んでいたが、ふと、窓の外を見なければいけないような気がした。
5時ごろだったと思う。
窓からは、素早く通り過ぎる街並みとともに、暗くなりかけた空が広がっていた。
僕が見とれたのは、その空と地上が交わる、少し上のところだ。
その部分は美しいピンク色をしていた。
夕焼けのオレンジ色が青い空に拡散して、ピンク色に見えているのだ。
僕はそのピンク色の空を、ずっと眺めていたかった。
ずっとずっと、眺めていたかった。
でも僕はその気持ちを抑えて、小説の続きを読み始めた。
なぜ空を見るのをやめたのかはわからない。
ただなんとなく、この空が僕にはもったいないような気がしたのだ。